環境省主催の脱炭素フォーラムが2023年3月6日にウェビナーという形で行われました。プライム上場企業だけでなく、中小企業も脱炭素に関するモデル事業の実証実験に参加しているところが非常に面白いですね。この事業、どのようなことを行ったかというと、製品カーボンフットプリントを算出したり、バリューチェーン全体を通した脱炭素実現に向けた取り組みを行ったりしました。企業規模が小さくなるほどサステナビリティに向けるリソースも限られる中で、どのようにこの取り組みを通じて価値を見出したのか、なにがモチベーションとなり応募したのかそのあたりもぜひ注目したいところです。
製品カーボンフットプリントとは
製品カーボンフットプリントを略すとPCF(Product Carbon Footprint)といったり、CFP(Carbon Footprint of Product)といったり呼び方はそれぞれありますが、意味としては製品が作られるまでにどれだけの温室効果ガス(GHG)が発生したかを計算した数値です。例えば歯ブラシを例にとると、ブラシの部分はPBTというプラスチック、柄の部分はPPと呼ばれるプラスチックでできてます。この時歯ブラシ1本のPCFはそれぞれのプラスチックが石油を採掘されるところから、原材料を輸送する際に発生するGHGや加工されて製品として出荷されるところまで、すべての段階で発生するGHGを足し合わせたものとなります。最近ではスーパーの店頭でも豆乳や加工肉などにCO2 が表示されているものを見かける機会も増えてきました。しかし、意外と身近にある商品が作られるまでにどれだけGHGを排出しているか、意外と知らないことが多いんです。将来的にはカロリーのように似たようなものなら、CO2がより低いものを購入するといったように自分たちの行動が変わるような日が来るかもしれませんね。残念ながら、算出に取り組めていない企業もまだまだ多いのが実態です。それは、なぜなのか?やればいいじゃないと簡単に思った方いますよね?(はい笑)その理由についてみていきたいと思います。
なぜ計算が簡単でないのか?
なぜPCFの計算が簡単ではないのか?その原因には大きく3つあります。
- 計算するための詳細なガイドラインがない
- 製品を作るための原材料や部品のPCFがわからない
- そもそも計算するためのデータが整理されてない
えっ計算のガイドラインがないの??と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。そうなんです、もっと正確に言うと”細かい算出方法を示したガイドライン”がないのです。確かにグローバルスタンダードとしては①GHGプロトコルというスタンダードや②ISO14067(製品のカーボンフットプリント)においておおまかな考え方やロジックが示されています。しかし、これらのスタンダードは細かいケースに対応していません。なんとなく方向性は示されているのですが、細かい計算ルールまでは示されていないのです。そのため、解釈の余地が十分にある状態となり、それぞれの企業が独自の計算ルールをつくって算出するので、同じ商品であっても、それぞれのPCFを単純に比較することができなくなってしまっているのです。最近では一部の業界において、業界のPCF算出ガイドラインを作成し、グローバルスタンダードを目指して普及促進に努めているところもあるようですが、全体を見るとまだまだそういった取り組みはこれからのところが多いです。(次回へ続く)
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